11月21日、新嘗祭を前に、お米をテーマにしたオンラインセッション「米トーーク!」を開催いたしました。
パネリストは、心游米を作ってくださっている新潟の宮尾農園の宮尾浩史さんと京都のカウンター割烹ごだん宮ざわ、じき宮ざわの宮澤政人さん。
司会は上賀茂神社権禰宜で心游舎理事の乾光孝さんが上手にまとめてくださいましたが、もっと聞いていたい!と思うくらい充実した内容でした。
最初に乾さんが、古代ローマの太陽信仰を旨とするミトラ教は、太陽が生まれ変わるとされる冬至を大切なお祭りの日にしていたこと、太陽が生まれ、昇る方角である東が重要とされ、日嗣の皇子である皇太子は東宮、あるいは春宮と言われること、だから卯の日に新嘗祭が行われるのだということをわかりやすく説明してくださいました。
伊勢の神宮の神様に新穀をお供えする神嘗祭、天皇陛下が新穀を天神地祇にお供えになり、自らも食される新嘗祭は全国の神社で行われていますが、その間に行われる相嘗祭は今では上賀茂神社でしか行われないお祭りであるそうです。
そして宮尾さんが生産農家としてのお話を。農薬を使っていた田んぼで自然栽培で心游米を作り始めましたが、年々土が柔らかくなり、5年目の今年は、集落の古老の市橋さんが今年はいい米がとれたねと褒めてくださったことをうれしそうに話してくださいました。
彬子女王殿下は、初めて宮尾さんの田んぼを訪れた際に草取りのお手伝いをされ、小一時間の作業だったのに翌日全身動けなくなるくらいの筋肉痛になり、こんなに大変な作業を農家さんがされているのかと、心游舎では「草取りを経験せずして米作りを語ることなかれ」と田植え、稲刈りとともに草取りを大事にしているというお話をしてくださいました。
宮澤さんも、毎年田植えは、お店を休んで、お子さんたちも学校を休ませて、総出で滋賀の農家さんの田んぼにお手伝いに行かれているそうです。
宮澤さんは、本当にご飯がお好きなんだろうなと感じるご飯をお店でも出されます。
茶懐石のように、そのお客様のためだけにご飯を炊き、まだ芯の残る煮えばなのご飯をほんの一口。
二膳目、三膳目とご飯が蒸らし上がり、味が変わっていきます。初めて一膳目のご飯を召しあがった方は「なんだこれ」とびっくりされる方もいるそうですが、説明をすると納得され、一膳目が好きだとか自分はやっぱり三膳目などと感想を言ってくださるようになるそうです。
農業も料理も大事なのはタイミング。相手のことを思い、何をしてもらったらうれしいかを推しはかりつつ、タイミングを見極めて行動するのが大切なのだとお二人ともおっしゃっていました。これは、日常生活、仕事をするうえでも生かせる極意かもしれませんね。
和気あいあいとお話をあれこれ聞いていたら、あっという間に終わりの時間に。
最後に一つだけ、宮澤さんに新米に合う最高のお供は?と聞いてみました。
きゅうりの古漬けを千切りの生姜と和えてご飯の上に!だそうです。きゅうりを漬ける糠も、もちろんお米の副産物。
本当にご飯が大好きなんです!という宮澤さんの笑顔で幕を閉じました。
明日は新嘗祭。
厳粛なお祭りが行われていることに明日の夜は思いを馳せ、明後日からはおいしい新米をおなか一杯召し上がってくださいね。
次回のオンラインセッションは、12月6日。京都の割烹川上のご主人、加藤宏幸さんに「京のお雑煮」を教えていただきます。
師走に入ると、一気に年末の雰囲気になってきますね。
お料理教室で一足先にお正月気分を味わっていただければと思います。
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