10月31日、全2回シリーズの2回目となる和の色をテーマにしたオンラインセッションを開催致しました。
講師は前回と同じく、学習院大学非常勤講師の田中潤先生、司会は和樂ライターの高橋亜弥子さんです。
前回の講座では、様々な切り口から和の色に親しみを持ってもらい、襲とは何かというお話を田中先生にして頂きました。
今回は、和の色折り紙を使って、参加者の皆さんにオリジナルの襲の色目を発表して頂きました。
恐竜襲、空の色襲、庭のあけびの色襲など、独創的な作品が次々と。襲の色目で独楽や水引細工を作ってくださった強者も!田中先生もこれはすばらしい!と唸っていらっしゃいました。
見回してみると、日常の中にも襲の色目が使われているものがいろいろあります。
彬子女王殿下は、春夏秋冬それぞれを襲の色目で表現した生地で餡子を包んだ包み餅や、緑から赤へと変化していく紅葉の色を表現したマカロンをご紹介。田中先生は、襲の色目靴下や十二単の色目になっている高級ティッシュを紹介してくださいました。
重なる色で季節が表現できると言うのはとても美しいですね。
次は、田中先生が襲の色目から有職装束の世界について色々教えてくださいました。裾だけ濃い色で染めた裾濃、色の濃淡でグラデーションにするにおいなど、襲にもいろいろな種類があります。昨年行われた即位の礼で使われた御装束の解説もわかりやすくして下さいました。
男雛女雛が座っている畳の縁は、繧繝縁と呼ばれていますが、これは月の周りにできるいろいろな色に見える暈を表現したものなのだそうです。
天皇を始めとする貴人が光り輝く存在ということを示すものなのですね。
「紅葉の錦」といったりしますが、錦という言葉は、紅葉の色である丹(に)、紫(し)、黄(き)から生まれたものだというお話には、画面の向こうで目を丸くされている方がたくさんいらっしゃいました。
そして、恒例となりました襲の色目クイズ。苗色襲、落栗襲、紅梅襲など、四季折々の植物の襲の色目を出し、何襲だと思うか当ててもらいました。
抹茶襲、秋の夜襲など、いろいろな回答があり、確かにそちらの方がしっくりくるかも!というネーミングもありました。
田中先生のお話を聞いて、もう一度襲の色目を作ってみませんか?という問いかけの後、トカゲ襲、ハロウィン襲、紫陽花襲など、新しい襲をまたいろいろ作ってくれました。
素晴らしい作品が多かったので、後日参加者の皆さんの作品の写真を公開させて頂きます。
彬子女王殿下は、アイスバーンと新雪を表現した雪山襲と夕焼け空を表現した夕焼け襲のポチ袋を見せて下さいました。
日本は、侘び寂びを大切にする国でもあり、モノトーンの色彩で表現されることも多いですが、冠位十二階を始めとして、古代から多くの色を使ってきました。様々な色をどうやって植物染で作り出してきたのか、そんなことにも思いを馳せる時間になったのではないかと思います。
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