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全国的に寒い一日となった10月17日、全二回シリーズ「和の色」をテーマにしたオンラインセッションを開催いたしました。
講師は、学習院大学など多くの大学で非常勤講師を務められている田中潤先生です。彬子女王殿下の学習院大学時代の先輩にあたる田中先生とのセッションは、終始和やかな雰囲気で、いつもの先輩後輩の雰囲気が垣間見られる一幕も。和樂エディターの高橋亜弥子さんの司会による充実した内容で、いつの間にか1時間が過ぎてしまいました。

お話の始まりは、東京オリンピックのイメージカラー。街中で見かけるポスターやバナーに使われている色は、実は紅、藍、桜といった和の色になっています。そう思って見ると、急に日本らしさを感じますね。

日本の伝統的な色は様々ありますが、たくさんの色が登場する茨木のり子さんの詩「色の名」を彬子女王殿下が朗読されました。「早春くるりと照れながら すくすく伸びる くすんだみどり オリーブいろなんて言うのは もうやめた」の一節に、田中先生も「私もそう思います!」と大きく頷いておられました。日本の色の情景の美しさが、心にじんわりとしみいるあたたかい詩です。

次はそんな日本の伝統色から、5色選んで、何色か当ててもらうクイズを行いました。鶯色、桜色、菜種色、銀朱、甕覗が答えでしたが、空色、いちご色、たんぽぽ色など、いろいろな答えが出ました。動物、植物、鉱物など、いろいろなものが色の名前になっていますが、甕覗は、藍甕をちょっと覗いただけで染めた、あるいは甕を覗いたとき水面に映った空の色という意味の、淡い青色のこと。色の名前を見ただけで、どんな色か想像できるというのは、とてもすてきだなと思います。

聖徳太子の時代に、冠位十二階が定められ、冠と衣裳の色で、その人がどのような身分なのか、一目でわかるようになりました。時代を経るにしたがって、冠は小さくて色が分かりにくいことから、黒に統一されますが、衣裳の色は残ります。また、その人しか着てはいけない「禁色」と呼ばれる色も出てきます。天皇しか着られない黄櫨染、皇太子しか着られない黄丹という色がありますが、これは皇室の御祖神天照大御神、つまり太陽を表す色だからなのだそうです。中でも、黄丹はこれから輝くという意味で、朝日の色を指していると言われています。

濃い色は、たくさんの染料が必要になるので、高価で、身分の高い人しか着ることができませんでした。そんな中でも、当時の人たちは色を重ねて、衣裳に様々な襲色目を使い、おしゃれを楽しみました。次回のセッションでは、参加者の皆様に伝統色の折り紙でオリジナルの襲色目を作り、発表していただきます。彬子女王殿下も、折り紙で作ったさくらんぼ襲、栗きんとん襲などを披露されました。ちなみに、司会の高橋さんは栗きんとん襲をイメージしたニットを着ておられたんだとか。

次回のオンラインセッションは、10月31日。「和の色」シリーズの二回目となります。
どのような襲色目ができあがるのか、楽しみにお待ちしております。

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