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9月5日、好評につき、2回目となりましたお茶をテーマにしたオンラインセッションを開催いたしました。
パネリストも前回と同じく、一茶庵宗家嫡承の佃梓央さん、茶酒房 万の徳淵卓さん、司会はEn Teaの丸若裕俊さんです。

元々は一茶庵に集合して、重陽の節句をテーマにした煎茶会を開催する予定でしたが、まだ新型コロナウィルスの感染の広がりが落ち着かない状況であったため、それぞれが同じお茶を、それぞれの好きなお道具で淹れて飲むという、独茶スタイルのオンライン煎茶会となりました。

まずは、佃さんから重陽の節句とは?のお話をして頂きました。
陽数(奇数)が極まった九の数字が重なることから、とても縁起が良いとされており、中国では酒肴や茶菓を持って丘に登り、茱萸を髪に指し、菊酒を飲んで邪気を払う行事がありました。
それが日本に伝わり、天武天皇の時代から菊花の宴が催されるようになったものです。

新暦の9月9日はまだまだ残暑が厳しいころですが、旧暦だと冬の入り口。冬に向かう前、収穫祭の頃に美しく咲く菊は、延命、長寿の効能があると言われ、大事にされました。
その菊にかぶせ、露をしみこませて肌をぬぐうと老いを捨てると言われる着せ綿が、毎年宮家に献上され、子どもの頃に菊の節句について知る一助となっていたことを彬子女王殿下が紹介してくださいました。
書斎にかけられた光琳菊のお軸と同じような形でかわいらしいものです。

そんなお話を聞きながら、それぞれお茶を淹れて飲むことに。
佃さんは、竹で作られた清朝の急須、徳淵さんは前回登場したお弁当箱にもなる木の急須から菊を思わせる茶碗で一煎。
丸若さんは台湾で購入された注ぎ口が二本に分かれた急須と双子になった急須をご紹介。
どちらもとても注ぎにくいのが難点だとか。
彬子女王殿下は、心游舎の独茶セットで、菊をモチーフにした和菓子とともにお茶を楽しまれました。

今回の煎茶会、全員集合はできませんでしたが、それぞれが菊の節句に合わせて一茶庵にお道具を送り、それを取り合わせて、佃さんが空間をしつらえてくださいました。
彬子女王殿下の菊の帯留は書鎮に見立てられ、菊を愛した詩人陶淵明の書物の上に。徳淵さんの唐津焼の茶碗は、籬に見立てた棚の前に。
前回も登場した丸若さんの宇宙人、もとい少年は、佃さんが手びねりされたげんこつのような形の茶入れの前に。これは菊慈童(悪魔くん??)の住む山の見立てだそうです。

陶淵明は、人里離れた場所に庵を結び、籬に菊を植え、友人の訪れを待ちました。
今回のお茶会は、陶淵明のように友人を待つ心持を込め、佃さんが趣向を凝らしてくださいました。
実際に再会することは叶いませんでしたが、それぞれの思いを一茶庵にお送りし、心が通い合ったことを実感できる素敵なオンライン煎茶会となりました。

次回のオンラインセッションは、9月19日。
日本を代表する菓子メーカー、鈴懸社長の中岡生公さん、虎屋社長の黒川光晴さん、心游舎理事で六花亭副社長の小田文英さんをお迎えし、北から南へ、日本縦断お菓子会談を開催いたします。心游舎ならではの企画になると思いますので、ぜひご参加くださいませ。

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