【心游舎 漆ワークショップ 開催のご報告】
令和7年3月8日(土)
先週の土曜日は20℃近くの温かさでしたが、今週は真冬並みの寒さとなりました。三寒四温の時期となり春本番が待ち遠しい中、東京都港区の乃木神社にて「漆ワークショップ」を開催致しました。凛とした空気が漂う乃木神社拝殿にて正式参拝を行い、参集殿に移動してワークショップの開始です。
今回のワークショップでは講師に株式会社目白漆芸文化研究所代表取締役の室瀬智彌先生をお招きし、講話や体験を通じながら漆について学びました。
はじめに行われた室瀬先生による漆の講話では、塗る事で耐久性が上がり華やかになる実用的役割や、縄文時代より食器や祭器具、時代を経て楽器や鎧、寺社仏閣など幅広く使用されてきた歴史についてお話しいただきました。
また、目隠しをしてガラスやプラスチック、木など他の素材と比べて触ることで漆の軽さや質感の良さを肌で感じたり、お湯を注いで保温性や熱伝導を体感してみるなど様々な観点から漆の魅力を伝えていただきました。
次に漆を絞り出し、ハケで塗る様子を実演していただきました。漆を塗るハケの毛は何の動物でしょうか?と先生からクイズが出され「イノシシ」「タヌキ」「熊」など子供達から様々な動物の名前が挙がりましたが、まさか答えが「人毛」とは誰も予想が出来ませんでした。
また、先生が一年程かけて製作された漆箱をお持ちいただき、螺鈿や蒔絵、真珠が施された漆器の美しさを間近で見る事が出来ました。更に乃木神社からも乃木家家宝の昭憲皇太后御下賜重箱を特別に展示していただきました。尚、こちらを修復されたのが室瀬先生の御父上で人間国宝として知られる室瀬和美氏で、今回は特別にご参加いただき解説をしていただきました。
そしていよいよ漆作品の作成へと移りました。桃、リス、ウサギ、熊の模様から一つ選び練習量シートで入念に練習した後、小皿に漆を塗っていきます。一番人気は桃で、彬子女王殿下はウサギを選ばれました。自分の名前を入れる方、高難度の熊に挑戦する方や自分の好きな動物のキツネを描くお子様など思い思いに漆塗りを楽しみました。1時間程かけて作品が完成し、この後は先生の工房で数週間かけて漆を乾かし参加者のもとに届けられます。和菓子か、それともクッキーか、どんなものをのせるか楽しみです。最後は参加者全員で記念写真を撮影し、和やかに終了となりました。
漆をより身近に、大切に感じることが出来、子供も大人も楽しめるワークショップとなりました。室瀬先生、乃木神社の皆様、誠に有難うございました。
尚、今回の参加費は能登半島地震の被災地へ寄付致します。一日も早い復興をお祈り致します。
次回は3月29日に京都の北野天満宮で書道のワークショップを開催予定です。お楽しみに!
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