オンラインショップ

会員ページ

93日、今年度二回目となる神話のオンラインセッション「八岐大蛇退治」を開催いたしました。講師は、オロチ先生こと錦田剛志さん、司会はめがちゃんこと高橋亜弥子さんです。今回は、日本神話でもハイライトともいうべきよく知られたお話なので、楽しみにしておられる方も多かったのではないかと思います。

天の岩戸開きのときは、高天原の神様が皆集まって大騒ぎをしていましたが、そのとき須佐之男命はどうしていたのでしょうか。結局岩戸が開かれた後、須佐之男命は爪をすべてはがされ、体中の毛をむしり取られて、高天原を追放されてしまいます。そこで天下られた先が、出雲国の肥の河のほとり。上流から流れてきた箸を見て、この先に人がいることに気付き、歩いていくと、泣いている足名椎・手名椎夫婦と美しい櫛名田比売に出会います。「はし」という言葉には意味があり、階(きざはし)、柱(はしら)、橋(はし)など、あちらとこちらの世界をつなぐという意味があります。天津神と国津神をつなぐ役割をするのは、お茶碗ではなく、箸でなければいけなかったという錦田さんのお話に、画面の向こうで頷かれていた方も多かったのではないでしょうか。

八岐大蛇を退治できたら、娘さんをくださいとプロポーズした須佐之男命。櫛名田比売を櫛に変えて髪に挿します。これは、比売をオロチから護ると言う意味もありますが、櫛=奇しということで、比売の力で須佐之男命を護ると言う意味もあるのだそうです。お酒を飲ませて酔っぱらわせた八岐大蛇を斬り結んで退治する須佐之男命。オロチの尾から出てきた刀を須佐之男命は天照大御神に献上しますが、これが今は熱田神宮に伝わる草薙の剣です。これまで会ったことのないお母さんに会いたいと泣きわめき、高天原でも乱暴狼藉を働いていた須佐之男命が、戦略的な強い男に変身。これは、須佐之男命の成長の物語でもあるのかもしれません。

錦田さんは、八岐大蛇は、暴れ川で大雨のたびに人々を困らせていた肥の河(斐伊川)のことでないかと言われます。オロチの鬼灯のように赤い目というのは、鉄を作るときの炎であり、川が赤くなるのも、鉄分が多い赤い土が流れてくるから。オロチの尾から刀が出てくるのは、暴れ川である斐伊川の治水がコントロールできれば、鉄を産出することができるという、出雲の土地の姿を現しているのではないかと言われます。奥出雲で行われるたたら製鉄や斐伊川の様子をご覧になったことのある彬子女王殿下も、納得のご様子でした。

櫛名田比売との新居を探していた須佐之男命は、出雲の須賀までやってきます。「この地にきて、気持ちが清々しくなった」と言われた須佐之男命は、そこに宮殿を建てたところ、雲がわき上ったので、歌を詠まれました。「八雲立つ出雲八重垣妻籠みに八重垣作るその八重垣を」これが、日本最初の和歌と言われています。

出雲に行くと、本当に八雲立つような光景が見られます。八岐大蛇が住んでいたと言われる天が淵や、オロチの頭を埋めたと言われる八口神社、オロチが頭を載せた草枕山など、神話ゆかりの場所がたくさんあります。今年のキッズキャンプでは行くことができませんでしたが、来年以降ゆかりの土地巡りができるといいですね、と彬子様も話しておられました。

今年度の神話セッションの最終回は、1030日です。今度はどんなお話が聞けるか楽しみですね。

※写真の無断転載は固くお断りいたします。