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12月11日、本年最後となる心游舎のオンラインセッションを開催いたしました。大好評の日本神話シリーズの2回目のテーマは、伊邪那岐命の黄泉の国訪問と三貴子の誕生です。講師はオロチ先生こと錦田剛志さん、そしてこのシリーズの縁の下の力持ち、出雲大社権禰宜の長田圭介さん、司会はめがちゃんこと、和樂ライターの高橋亜弥子さんです。
火の神である加具土神を産んだことで伊邪那美命は火傷をし、亡くなってしまいます。伊邪那岐命は腹ばいになって泣き悲しみ、その涙からは泣沢女神が生まれ、奈良の畝尾都多本神社は泣沢女神を御祭神として泣沢という井戸を祀っています。怒った伊邪那岐命は、加具土神を斬り殺してしまいますが、そこからもたくさんの神様が生まれます。首を切り落とされたときに血があたりに飛び散る様子は、刀を鍛錬するときに火の粉が飛ぶ様子にも例えられ、生まれた神々は刀剣の制作過程を象徴しているという考え方もあるそうです。
錦田さんはよく「神話を学ぶのではなく、神話に学ぶのが大切」と言われます。神話に書いていることをそのまま受け取るのではなく、書いてあることから何を学び取れるかが重要ということです。石析神や根析神は岩石を砕くほどの威力を象徴する神ですが、これは刀剣の原材料となる鉄鉱石を砕く様子、建御雷神は、勇猛な雷の神ですが、これは火で鉄を鍛え、鍛錬する様子を表しているのではないかと考えられています。深読みしてみると、いろいろ面白い発見がありますね。
伊邪那岐命は伊邪那美命に会いに黄泉の国に行き、見てはいけないと言われたのに、その姿を見てしまいます。ダメだと言われていることをしてしまい、失敗するというのは、鶴の恩返しや浦島太郎の玉手箱と言った昔話に出てきますね。神話を読んでみると、この昔話のこの場面に似ているということがたくさんありますよ。
黄泉の国から帰った伊邪那岐命は、筑紫の日向の橘の小戸のあはぎ原で禊を行います。昨年祓詞のセッションをやりましたが、まさにこの場面です。身をそそぐから、みそぎ。最近は一緒くたに考えられることが多いですが、罪は祓い、穢れは禊ぐものだそうです。最後に皆で、声を揃えて、この場面を音読しました。やはり人々の口で語られてきた文章ですから、とてもテンポよく耳に入ってきます。一年の最後にとても清々しい気持ちになりました。
来年最初のオンラインセッションは、1月8日。昨年に引き続き、書家の神郡宇敬先生とご一緒にオンライン書初めをいたします。ぜひご参加ください。

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