10月10日、全5回シリーズのお料理教室の第1回、日本料理木山の木山義朗さんによるお出汁の取り方講座を開催致しました。
日本料理の基本をその道のプロフェッショナルである皆さんに教えて頂くこの企画。やはり初回は、日本料理の基本のキであるお出汁です。
お出汁上手に取れたら、お料理はなんでも美味しくできると言われる木山さん。でも、出汁、そしてそれを取るお水にはとてもこだわりを持っておられます。お出汁の取り方を簡単に説明した動画を見て、お料理教室開始。今回のポイントは、昆布を引き上げるタイミングは、時間でも、見た目でもなく、「味」だと言うことを、如何にして離れた場所にいる参加者の皆さんに伝えるか、ということでした。
参加者の皆さんには、前もって材料をお送りし、始まる2時間前から昆布を水につけておいて頂いています。
それを鍋に移し、60-65℃になるまで火にかけます。
そこからグラグラと沸かないように温度を保ったまま、味見を繰り返します。
昆布の味がするお湯だったのが、徐々に甘みが出てきます。
参加者の皆さんからも、チャット画面に「とろみが出てきた」「甘さが出ないのですが、大丈夫ですか?」「味が丸くなってきた」など、書き込みが次々と入ります。不安顔の方もいらっしゃいましたが、その都度木山さんがやさしく対応してくださいます。
参加者の皆さんが味見をされるごとに、味が変わったのか、「おっ」という顔をされたり、大きく頷かれたり。昔ながらのお勝手の風景を見たような気がしました。
昆布だしが取れたら、あとは一瞬。
袋から鰹節を粉を落としながらふんわりと鍋に入れ、やさしく動かしたら、すぐに火を止め、濾していきます。
ボウルの中に黄金色のお出汁が出来あがりました。そして、ここからがまたポイント。
お出汁の香りは揮発性なので、熱いまますぐラップで蓋をし、冷まします。
そして、なるべく動かさないように、ペットボトルなどに移し替え、冷蔵庫へ。動かすとまた香りが飛んでしまうので、大きなペットボトルに入れて何回も使うより、小さいペットボトルで1回ずつ使ったほうがよいそうです。木山さんの含蓄のあるお話に、頷きながらノートを取っておられる参加者の方もいらっしゃいました。
おいしく出汁が取れれば、調味料を使う量も減るし、素材の美味しさをそのまま味わうことができると木山さんは言われます。
毎日出汁を取らなくても、3日に1回、1週間に1回でもしっかり出汁を取って、冷蔵、もしくは冷凍して美味しい出汁を日常的に味わって欲しいということでした。
自称「面倒くさがり」の彬子女王殿下は、「昆布とそんなに長時間向き合ったことがない」そうですが、1週間に1回でいいなら挑戦できそうと仰っておられました。
お出汁が出来上がったときの、参加者の皆さんの満足げな表情がとても印象的だった今回の料理教室。今後もぜひご家庭で実践をして頂き、皆さんの日々の食卓がより豊かなものになりますよう祈っています。
次回のお料理教室は、皆さんが上手に取れるようになったお出汁で、だし巻き玉子を作ります。
講師は同じく、木山の木山義朗さんです。楽しみにお待ちくださいませ。
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