心游舎 「祭りと芸能から見る太鼓」ワークショップのご報告
10月21日、宮本卯之助商店 宮本芳彦社長に講師を務めていただき、「祭りと芸能から見る太鼓」と題しワークショップを神田明神にて、開催いたしました。
宮本卯之助商店は、文久元年(1861年)から太鼓づくりをはじめ、日本の伝統芸能を支えてこられました。当日は、様々な太鼓をお持ちいただき、参加者の方々に、手にとって触れていただいたり、叩いていただいたりしました。普段触れることのない太鼓や装飾の細やかな太鼓をじっくりと間近で見ていただき、その造りを楽しんでいただけたかと思います。太鼓は、叩くというシンプルな手法から世界各地に様々な太鼓が古くから存在しており、日本でも1500年以上前から存在していたことが、太鼓の埴輪が見つかり明らかになっています。神事芸能、郷土芸能、そして雅楽、能楽、歌舞伎と近代に近づくにつれ、使われる幅を広げていく太鼓。現代でも、組太鼓、創作和太鼓と拡がり続けており、時代に合わせて、変化、進化してきている、と宮本社長よりご説明いただきました。
我々の生活の身近なところにある太鼓。その胴部分を作る木はケヤキやスギですが、まず大体の形を削り出した後は、長く使えるようにと、3~5年も自然乾燥させ、水分を抜いてから形を整えていきます。形を整えるのに重要な工程は、鉋(かんな)がけ。鉋をかけて仕上げる前と後の表面を、参加者の方々に触れていただきましたが、その違いにびっくり。ものづくりの繊細さを、文字通り肌で感じていただけたように思います。
そして、最後は宮本卯之助商店で販売している段ボール製の獅子舞づくり。段ボール製と侮ってはいけないクォリティに会場からは声が漏れるほど。それもそのはず。この獅子舞は、コロナ禍の副産物で、お祭りが開催されない中、宮本卯之助商店が本気になって企画・製作した逸品。皆様、一心に組み立ててくださり、最後は獅子舞と一緒にパシャリ。
今回、目で見て、耳で聞き、手で触れ、自ら作る。五感を通じて、太鼓や伝統芸能についてお伝えしたく、リアルで開催させていただきましたが、参加してくださった方々の様子を拝見し、リモートでできること、リアルでできることを改めて実感できる機会となりました。生活の中にある太鼓の音を聞く度に、思い出していただければ幸いです。
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