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7月1日、七夕を前に「笹の葉さ〜らさら。七夕に輝く夏のお菓子」を開催しました。前回の上巳の節句に引き続き、株式会社虎屋 代表取締役社長 黒川光晴さんに講師を務めていただき、七夕を中心とした夏のお菓子について、お話しいただきました。
七夕というと、年に一回、織姫と彦星が出会える日、短冊に願い事を書いて笹に飾る日という印象が強いですが、そのルーツは中国の乞巧奠(きっこうでん)にあり、伝来した際に、元々日本の風習である棚機津女(たなばたつめ)と合わさり、時代の流れと共に、今の七夕となっています。彬子女王様から、乞巧奠は字の通り、巧みを乞うお祭りという意味で、習い事が上手になりますようにと、願うのが元々で、いつの間にか、願うということが中心になっているのが日本っぽいとお言葉をいただきました。
乞巧奠と共に伝来したのが、索餅という素麺の原型。それが気付けば、七夕に食べるのは素麺と変化。今の七夕のお菓子と言えば、とらやさんの天の川。錦玉の中に天の川をイメージした天の川。星を表した白ごまと、夜空を明るくしたようなお菓子です。花扇、花使といった昔のお菓子も背景と合わせてご紹介いただきました。
また、夏の和菓子、水羊羹と羊羹の違いから、話は寒天に発展。寒天は、海藻を煮詰めたものをところてん状にして乾燥。ここで大事なのが、気温。凍ったり溶けたりを繰り返して水分が抜けていくので、元来、寒い地域でしか加工できないと黒川さんにご説明いただきました。意外だったのは、京都でも作られていたということ。彬子女王様から、下鴨神社の脇に明治天皇が訪問した寒天の製造所という碑文が残っていることを教えていただき、京都で産業として力が入っていたのではないかという推測に話が及びます。
また、小田さんから、なぜ、とらやさんの若葉陰は、金魚という銘ではないのでしょうか?という素朴な質問。金魚単体を想起する名前ではなく、金魚が若葉の陰にいる風景、そして、その情景から浮かぶ涼しさを感じていただきたいと、黒川さんの説明。お菓子の名前一つとっても、思いがこもっているのだと感じる一幕でした。
心游舎では、日本の文化を掘り下げ、生活の中に活かしていただきたいと、年間を通じたウェブセミナーに加え、コロナ禍前に行っていたリアルでのセミナーも増えてきました。引き続き、日本の伝統文化を楽しんでいただけるコンテンツを開催してまいりますので、ご入会、ご参加お願い申し上げ、開催報告といたします。

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