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9月19日、アンケートでもご希望の多かった「日本のお菓子」をテーマにしたオンラインセッションを開催いたしました。心游舎のワークショップでもお世話になっている日本を代表するお菓子メーカー三社、鈴懸の中岡生公さん、虎屋の黒川光晴さん、心游舎理事でもある六花亭の小田文英さんをお迎えし、En teaの丸若裕俊さんをファシリテーターに、あっという間の1時間半でした。

9月19日はお彼岸の入りでした。お墓参りに行かれたという方も多いのではないかと思いますが、お彼岸に欠かせないお菓子と言えばおはぎ。北海道以外の方はあまりご存じではないと思いますが、六花亭でもおはぎを作っておられます。北海道ならではの、貴重な青えんどう豆を使ったおはぎもあるそうです。
おはぎはあんこともち米でできていますが、各社そのバランスや水分量、粒あんにするかこしあんにするか、どこの材料を使うかなど細かいこだわりをお持ちです。
黒川さんからは、日本産、中国産、フランス産など、産地による大きさの違い、品種による違いなど、虎屋で使われている実際の小豆を見せながら説明をして頂きました。
鈴懸の本拠地は福岡で、米どころの佐賀のもち米も使われますが、中岡さん自ら全国を行脚して山形の彦太郎糯というもち米を使うに至ったお話も。
六花亭も、乳製品は一番新鮮な十勝のものを使うけれど、そのほかの材料は地元のものにこだわっているわけではないそうです。地産地消という言葉もありますが、いろいろ試して、全国の一番いい材料を使い、一番おいしいものを作る。それぞれのお菓子作りにかける強い思いを感じました。

二部のテーマはお月見でした。お月見と言えば、三方に乗ったお団子。関東では普通の丸いお団子ですが、関西は里芋、あるいは雲間の月を模したと言われるあんこに包まれた少し長細いお団子をお月さまにお供えします。鈴懸で出されているのは、関西風のお月見団子。北海道の小田さんは、関西式のお団子は見たことがないとびっくりしておられました。
宮中ではお月見の習慣があるのかという質問に、彬子女王殿下は今は行われていないけれど、6月16日に顔ほどもある大きなお饅頭の真ん中に萩の箸で穴を開け、そこから月を見るというのが成人儀礼としてあったことを最近知ったという話をご紹介。虎屋には、幕末に和宮様がその月見饅を注文された記録が残っているそうです。
そして最後は、中岡さんが六花亭、黒川さんが鈴懸、小田さんが虎屋、彬子女王殿下は三社のお菓子を召し上がりながら、それぞれがお菓子のおいしいところやポイントをわいわいがやがや紹介し合うという展開に。参加者の方からは、自分も同じお菓子を取り寄せて食べながら見たかったというお声が届いていました。お菓子メーカーの代表者が、別のメーカーのお菓子をおいしいおいしいと食べている姿は、なかなか見られないものだったかもしれません。
皆さんの話は尽きず、あっという間に終わりの時間に。最後に参加者の方からの質問に答えていただいたのですが、「お菓子はお茶やコーヒーに合わせて食べることを想定して作られますか?」という質問に、黒川さんが真っ先に「単体でおいしく召し上がっていただけるように仕上げている」ときっぱり。小田さんも中岡さんも、「うちも」「うちも」と続かれ、これこそがお菓子メーカーの誇りなのだと、とても満ち足りた気持ちになったところで、オンラインセッションの締めくくりとなりました。
聞き足りないお話も多かったので、お菓子鼎談第二弾はまた開催させていただけたらと思っています。

次回のオンラインセッションは、なんと本日!2週にわたって開催いたします、上賀茂神社と京都産業大学の学生が作り上げました子ども向けオンラインワークショップ「言の葉ミュージシャンになろう〜作って詠もう和歌の世界〜」です。2回目はオンライン歌会として10月4日に実施いたします。

10月からはオンラインお料理教室、和の色をテーマにした二回連続ワークショップなど、企画が盛りだくさんです。ぜひ奮ってご参加くださいませ。

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