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ご報告が遅くなってしまいましたが、10月30日、今年度の神話セッションの最終回、因幡の白兎のお話です。講師はいつものように、万九千神社の錦田剛志さん、司会は和樂ライターのめがちゃんこと高橋亜弥子さんです。
因幡の白兎の話は皆さんよくご存じではないでしょうか。大国主神は、兄弟である八十神に家来のように扱われ、因幡国の八上比売に求婚に行くという八十神の荷物を持ってついてくるように言われます。出雲から因幡国の白兎海岸までは、直線距離では約150キロあり、徒歩では約30時間かかる計算です。その距離をたくさんの荷物を持ってついていかされるとは、なかなかの苦行ですよね。
たどりついた海岸で、八十神たちは、わに(鮫)をだまして赤裸にされてしまったうさぎと出会います。うさぎに、八十神たちは塩水で体を洗って風に吹かれるといいと嘘を教えます。言うとおりにしたうさぎの皮膚は乾燥して裂け、もっとひどい状態になってしまったので泣いていると、大国主神が通りがかります。大国主神は、真水で体を洗い、蒲の穂を撒き、その上で転がると言いと教え、その通りにしたうさぎの肌は元通りになりました。このことから、大国主神は日本で初めての医療行為を行ったとされ、薬の神様、医療の神様としても知られます。蒲の穂には本当に止血や擦り傷に効く効果があるのだそうで、あの当時からそういった効果が知られていたということに驚かされます。
八十神ももちろん悪いのですが、鮫をだましたうさぎも実は悪いですし、皮を剥がれただけで済んだのは、意外とラッキーだったのかも?とも思います。「なんで最後の最後でうさぎは「お前たちは騙されたんだ!」とか言っちゃったんでしょうね。もう少し我慢できひんかったのかなあ?」と彬子女王殿下も言っておられました。
喜んだうさぎは、八上比売の心を射止めるのは、八十神ではなく、大国主神だと予言します。実際八上比売は、大国主神を選ぶのですが、怒った八十神たちは、大国主神を、猪と偽って焼けた石を山から落として殺してしまいます。悲しんだ母神の願いが叶って蘇生されますが、またいじわるな八十神たちに、木でつぶされて殺されてしまいます。今度も蘇生されるのですが、男の嫉妬はなかなかに厄介なものですね。
参加者の方からは、「八十神は何人いるんですか?」「八十神と大国主神のお母さんは違う人ですか?」など、錦田さんが「いい質問ですね!」と言われる質問がいろいろ出ました。最後はまたみんなで古事記の一節を朗読しました。難しいですが、やはり言霊というものなのか、なんだか気持ちがすっとする気がします。
今年度の神話セッションはこれでお終い。来年度はまたどんなお話が聞けるのか楽しみです。

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