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ゴールデンウィークも終わったような、終わっていないような…というような金曜日ですね。仕事や学校に行く気分ではない…と言う方もおられたのではないでしょうか。こういうときは、気分転換に散歩をするという方も多いのではないかと思いますが、散歩という言葉が一般化したのは、明治時代になってから。当時の和英辞典には、”walking for exercise”と書いてあるように、運動の意味が大きかったのだそうです。
それまで、「気ままにあちこち遊び歩く」「そぞろ歩きをする」という意味では、「逍遥(しょうよう)」という言葉が使われていました。坪内逍遥の『当世書生気質』には、「運動のため、散歩をなさん」という一文があります。逍遥が「散歩」という言葉を使い始めているのが興味深いですね。
今回のコラムは、お茶博士こと、万の徳淵卓さんです。心游舎10周年行事の際の特製のお茶について書いてくださいました。見えないところで大変なご苦労をしてくださっていたのだなと改めて頭が下がります。徳淵さんのお人柄がにじみ出るやさしい味わいのお茶は、お客様にも大変ご好評いただきました。
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心游舎設立10周年記念を終えて
この度は、心游舎さまの設立10周年誠におめでとうございます。
10周年記念平成中村座太宰府天満宮奉納特別公演にて、絵馬堂より万として呈茶させていただき誠に光栄でございました。心游舎様ならびに太宰府天満宮の皆様にはご協力を賜わり重ねて感謝申し上げます。
さて、昨年よりこの記念公演に際して、微力ながら何かご協力させていただけないかと考えておりまして、当日呈茶ができればと話しがまとまりましたが、なんと1日1500名さまの2日間と伺い、吃驚仰天。このような大事な役割を賜わるとは、光栄のひと言でした。
果たして、我々だけでおもてなし、ご対応できるのか、呈茶する茶は何にしようか、道具はあるのか、などなど今までにない経験で頭の中がぐるぐるしながら、色々と整理整頓していきました。
やはり、頼りになるのがEN TEA代表の丸若氏、チームとして打ち合わせを行い、精査するうちに各役割もでき、一安心できました。
さあ、肝心の茶はどうしようかとまだまだ課題が山積みの中、やはりここは丸投げ得意のEN TEA代表丸若氏。笑 しかと予想はできてましたがゼロからの考案、ここは万がしっかりと考えなければと時間をいただきました。
様々なケースを想定しながら、公演中に影響が出ないように、4月の太宰府の気温なども考慮しながら温かいお茶か、冷たいお茶か、何が1番美味しく提供できるか。また鈴懸さまの縁餅に合わせる等々、課題が沢山あります。また1日1500名さまへの提供ルールなど含め、美味しく提供できるか不安もたくさんでした。
心游舎さまの設立からの思いをもとに、今までご活動されていた内容を整理していくと、心游舎さまのオリジナル茶葉”帛”があり、発酵茶として効能も万能。こちらを採用し、また心游米で玄米茶を作らせていただいた経験をもとに、このふたつを組み合わせてみてはと思い付きました。ですが、試飲をするとどうも帛の味わいが強く、玄米が弱い。こだわりの強いEN TEA茶師の松尾氏に相談を重ね、炒りを深くしてもらいましたが、なかなか上手くいかず壁にぶちあたってしまいました。玄米を炒り蒸しにしたり、炊いてみたり、などなど。松尾氏と野辺氏には大変苦労をおかけしました。
そもそも玄米の香ばしさはどうやったら生まれるものなのか?”帛”を変更するべきなのか?お湯だけでの抽出は難しいのか?思考錯誤を繰り返しながら、でもみんな生き生きと私も含め難題の解決を楽しんでおりました。
考えも寄り道してたら浮かんでくるだろうと目の前のお茶の事ばかり考えずに、今回は歌舞伎公演という事を再確認し、歌舞伎といえば中村座の方々に以前、江戸っ子についてお話しを伺った事があり、江戸っ子といえば蕎麦という話を思い出し、、、そう、蕎麦に答えがありました。
辿り着いたのは蕎麦の”三立て”でした。蕎麦の醍醐味は”挽きたて” “打ちたて” “茹でたて”、この”挽きたて”に着目し、実際に玄米を挽いてみました。それを”帛”と合わせたところなんと香ばしいお煎餅のようなお米の味わいが上手く”帛”と合わさり美味に仕上がりました。まさに”挽きたて” “沸かしたて” “淹れたて”の記念茶が完成。
心游舎総裁の彬子さまと中村座さまのこれまでの教えと関係性が、うまく纏まって茶に表現できたのではないかと感極まりました。
公演当日も、皆さまのご協力のおかげで、ご来場のお客様方へ滞りなく呈茶する事が出来、安堵と共に貴重な時間を過ごさせて頂いている事にただただ感謝でした。
あらためまして、10周年記念平成中村座太宰府天満宮奉納特別公演にて、絵馬堂より万として呈茶させていただき誠に光栄でございました。
ならびに会場での設営に際して、呈茶にご協力頂きました、真木さまはじめ太宰府天満宮の皆様、鈴懸の中岡社長、ENTEAの丸若氏、茶師の松尾氏、野辺氏、はじめ、開化堂の八木氏、上出長右衛門窯の上出ご夫妻にはご協力を賜わり重ねて感謝申し上げます。
これからも心游舎さまの益々のご清栄を心よりお祈り申し上げます。