1月15日は小正月です。現代ではあまり意識される日ではないかもしれませんが、旧暦1月15日は新年最初の満月の日。満月から力を頂いて、お正月を祝おうという気持ちがあったのでしょうね。お正月飾りを集めて焼くどんど焼きや、「泣く子はいねが~」となまはげがやってくるのも小正月の行事です。
小正月には、小豆粥を頂きますが、これは土左日記や枕草子にも記述があるくらい歴史のある文化です。小豆のように赤い食べ物は邪気を払うという中国の風習が日本に入ってきたもので、一年の邪気を払うために頂きます。今回のコラムに出てくる陰陽五行思想ともかかわりがありますよ。
今回のコラムは、黒田装束店の黒田基起さん。日本文化とかかわりの深い陰陽五行思想。おせち料理に黒、赤、黄など五色の食べ物が入ることや、相撲の土俵の上にある房などの色とも関係がありますし、青春という言葉も、陰陽五行で青が春の色にあたるからなのですよ。身近な色ですが、なぜこの色なんだろう?と考えてみると新たな発見があるかもしれません。
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陰陽五行が関わった日本の習わし
皆さんは、「陰陽五行説」をご存知でしょうか。
「陰陽五行説」と聞くだけで難しそうだなと思う方もいるかもしれません。しかし、その考え方は、日本の暮らしの中にしっかりと根付いていて、暦、様々な行事や神事、日々の習わしや都市の設計までも陰陽五行の影響を受けています。
例えば、お正月に神社やお寺で見かける五色の幕や五色の短冊も「陰陽五行」と関連しています。「青(緑)」「黄」「赤」「白」「黒(紫)」という五色は森羅万象を表しており、それが揃うことで魔除けになります。
そして、陰陽五行の思想は装束にも組み込まれています。
色によって身分を分けた最初のものは、聖徳太子の「冠位十二階」ですが、それ以降「養老律令」の位袍に至るまで、位に応じて装束の色が規定されました。
最も位が高い「黒」の袍は、全ての色を混ぜ合わせた色で、全てを包含する意味を持つといわれています。
他にも「陰陽」では奇数は「陽」、偶数は「陰」とするなど、相対するものを「陰陽」に対応させます。そして「陽」と「陽」、「陰」と「陰」が重ならないように組み合わせることが原則です。
装束の有職文様も2つ文の次は3つ文、その次は2つ文というように、文様の数や配置にもその考えが反映されています。
すこしマニアックな話になりましたが、お正月に食べるお節や鏡餅の飾りなども同じようにその考えが反映されていて、日本の文化の根底には「陰陽五行」の影響を受けているものが多くあります。
私たちはその理由を知らないまま当たり前のこととして日々を過ごしていますが、「陰陽五行」の考え方は日本の暮らしの中にしっかりと根付いていて、その上に私たちの生活が営まれているのです。