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京都は気持ちのいい秋晴れが広がる1日となりました。最近は夕焼けが綺麗な日も多いので、1日を気持ちよく終えられることが多いですね。

夕焼け空のことを茜空とも言いますが、茜色は、赤い根(アカネ)の植物で染められます。植物の根っこからあんなに美しい色が出ることを知っていた古代の人たちはすごいなと思います。色を濃く染めるということは、それだけたくさんの染料が必要=高価ということ。鮮やかな茜色を身に付けるのは身分の高い人の特権だったのですね。

今回のコラムは、心游舎理事で六花亭副社長の小田文英さんです。一足お先に北海道の空きに空気を届けて下さいました。

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『自然に学ぶ』

北海道では一足先に紅葉が始まっています。桜も本州よりも一ヶ月遅れて開花しますの で、夏らしい期間は、本州よりも前後一ヶ月ずつ短いように感じます。

肌寒さを感じなが ら歩いていて、目に入ったヒバの木に違和感。じっくり観察して、違和感の正体に気付き ます。それは紅葉している葉の場所でした。頭の中でイメージする紅葉は、枝先から始ま るのに対して、ヒバは枝元から紅葉しているのです。実は、これに気付いたのは一年前。 それから、あちこちで聞いたり、調べたりしてもわからず、悶々と過ごし、2回目の出会 いです。この2回目の出会いが、私の好奇心を再びくすぐり始めます。

私が勤める会社は、建物を建てる際は必ず緑をセットにしています。そうして、数十年 と営んでいるうちに、お恥ずかしい話ですが、木が弱っているのに気づかなかったことで、 昨年、台風で木が倒れて車が下敷きになったことがありました。幸い誰も乗っておらず、 物損のみで済んだのですが、そこから専門家の方に、弊社の木という木を見てもらい、枝 打ち、頭打ちをしてもらうことで、今年の台風に備えていました。結果として、今年の台 風が大したことがなかったからか、準備のおかげかはわかりませんが、平和に夏が終わり ました。

話を戻すと、この専門家の方を思い出し、ヒバのことを問い合わせると、古い葉っぱか ら落ちるんじゃないかな?と意見をくれます。そこから、調べていき、やっと、一斉展葉、 順次展葉という言葉にたどり着きます。一斉展葉は、春先に一気に葉が出る木々。順次展 葉は、春先から徐々に葉の量を増やしていく木々。ここから先は、推論になってしまいま すが、順次展葉の木は、前述の通り、芽吹いてからの時間で紅葉、落葉の順が決まる。一 斉展葉の木は同時に葉が出るので、時間基準でなく、光合成しやすい先端からエネルギー を失い紅葉し落葉ではないか。どこまで正しいかはわかりませんが、私の気持ちにも秋晴 れがやってきました。

神道では、あらゆるものに神様が宿るとされます。私の好奇心を刺激してくれたヒバの 木にもいらっしゃったのでしょう。こうした機会に感謝することで、世の中が違って見え てくるのは、お恵みいただけたことなのかもしれません。太陽がまぶしく見えた秋の一日でした。