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4月もいつの間にやら最後の日となりました。大型連休が始まってはいますが、あまり連休気分にはなれないという方が多いかもしれません。京都も例年のこの時期は、多くの観光客でにぎわっていますが、去年に引き続き、今年もひっそりとしています。

毎年旅行に行くのを楽しみにしているという方も多いと思いますが、今年は写真を眺めながら旅行気分に浸るのはいかがでしょうか。今回のコラムは、東京大神宮権宮司で、心游舎理事の松山幾一さんがサンマリノ共和国の神社について書いてくださいました。サンマリノのカデロ大使は、駐日大使の中で日本の滞在年数が一番長く、駐日外交団長を長年お務めになっておられます。

現代は、交通網が発達し、飛行機や電車で目的地まであっという間に着きますが、そのような交通手段がなかった時代、人はどのように旅をしてきたのでしょうか。『更級日記』の作者菅原孝標女(すがわらたかすえのむすめ)は、今から約1000年前の1020(寛仁4)年、上総介であった父の東国での任期が終わり、共に帰京します。上総の国から東海道を通り、京の都まで約90日の旅。上総の国は現在の千葉ですが、当時は「あづま路の道のはて」です。その旅路にはどのような苦労があったのでしょう。

時間がある連休に、普段なかなか読まない古典作品をじっくり読んでみて、タイムスリップ気分を味わってみるのもいいかもしれません。

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サンマリノ共和国と聞いて、皆さんはこの国がどこにあるか分かりますか?

イタリア半島中部、アドリア海を望むティターノ山の高台に位置し、世界で5番目に小さな世界最古の共和国です。要塞の塔や城壁と共に美しい街並みが現存しており「サンマリノの歴史地区とティターノ山」として平成20年にユネスコの世界文化遺産にも登録されました。

実はこのサンマリノ共和国には神社があります。その名はサンマリノ神社。何故日本から遠く離れたこの地に神社があるのでしょう。それは、サンマリノ共和国のマンリオ・カデロ駐日大使が関係しています。カデロ大使は日本の文化、神道や神社に関心を示され、全国各地の神社を参拝されて、神社界との絆を深められました。訪日以来日本の国を愛してやまない大使は、自国における日本文化の発信源として、また、10年前に未曾有の被害をもたらした東日本大震災のメモリアルとして、被災地復興の願いを込め、日本の象徴でもある「神社」の建設を計画されたのです。

サンマリノは切手やコインが非常に有名で世界中にコレクターも多くいます。日本との友好と平和を祈り、神武天皇と橿原神宮がデザインされた金貨(実際の通貨)が発行され、その利益が神社建設の資金に充てられました。

サンマリノ神社に祀られる天照大御神様を、東京大神宮もご祭神とすることから当宮に依頼があり、祭典を奉仕させていただきました。平成26年6月下旬に日本を発ちサンマリノへ。到着後、真っ先に神社へ向かいました。細い農道を抜けると、広大な葡萄畑の一画に、真新しい神明造りの社殿がありました。三重県伊勢市で造られ、一度組立てたものを解体して海路で運び、日本の宮大工さんと地元建築会社の職人さんが力を合わせ組立てたそうです。

鎮座奉祝祭(前日には鎮座祭に纏わる諸祭儀を奉仕)には、日本から駆けつけた方々や現地の方々を合せて200名以上が参列されたほか、地元メディアも取材に訪れ、祭典の様子が大きく報道されました。

サンマリノ神社は鎮座から間もなく7年を迎えます。3年前には記念切手も発行されました。日々の管理は地元でホテルを経営されている方がボランティアで奉仕されています。

新型コロナウイルス感染症が終息した折には、サンマリノ共和国へ足を運んでください。
美味しいワインにパスタ、歴史ある美しい街並み、ティターノ山からの絶景と素晴らしい国です。そして、是非サンマリノ神社へご参拝ください。