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いつの間にやら、2月も終わりに近づいてきました。2月は28日までしかありませんから、1か月が終わるのが早く感じますね。

昔から、なぜ2月だけ28日なのだろうと思っていたのですが、旧暦を気にするようになってから、旧暦では2月は30日まであることに気が付きました。今我々が使っている暦は、グレゴリオ暦がもとになっていますが、その前身である古代ローマの暦では、一年は農作業が始まる3月から始まり、農作業があまりない1月、2月には名前がついていなかったのだそうです。その後便宜上名前が付けられましたが、一年の始まりは3月のままで、2月は1年の終わりの月でした。古代ローマの人たちは奇数である29と31を縁起のよい数字と考えていたので、1か月を29日か31日で暦を作ったところ、最後の2月はどうしても28日になってしまいます。その後何度か暦は作り直されましたが、未だに2月は一年最後の月として太陽の動きとの誤差を調整することになっているのだそうです。新暦が導入された当時の日本人は、2月29日と30日がなくなってしまったことを、どのように考えていたのでしょうね。

今回のコラムは、2月27日のオンラインセッションでパネリストを務めて頂く能楽師の大槻裕一さんが書いてくださいました。心游舎でも昨年の5月からオンラインセッションを始めましたが、能楽界でも昨年以来様々な試みで我々を楽しませてくださっています。明日は、心游舎ならではの切り口で、お能をより深く知ることのできるひとときになりますよう、準備を進めております。どうぞご期待ください。
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「能楽はテクノロジーと仲良くなれるのか」

時代の変⾰期にあたる今、能楽も例に漏れず、⾒せ⽅のアップデートが問われるようになりました。

数多ある演劇の中でもとりわけ他分野との結びつきが難しい能楽は、これまでテクノロジーの⽇進⽉歩に関わることは稀で、たまに両者の混じり合いが⾏われると、盛⼤な実験場と化し、関係者は皆、その親和性の確信を持てないまま、固唾を呑んで静かに⾒守っていました。

ところが、昨今の未曾有の出来事により、従来の公演ができなくなると、能楽界に限らず、すべてのエンターテイメント業界が、⼀同に映像配信に踏み出しました。⼀歩⽬を踏み出すタイミングを⾒計らう余裕もなく、皆それぞれに何かをせねばと必死だったのだと思います。

有料配信、無料配信、ライブ配信、事前収録配信など、⾊々なバリエーションを経験させて頂きましたが、⻑年、能楽を好きでいてくださる⽅々からは「こんな時代が来るなんて」と感激して頂き、⾃粛中の鬱々とした気持ちを少しでも癒すことができたのかと思うと、こちらも⼼が満たされました。

ただ、どのジャンルも⼀同に配信に踏み切っている為、真新しさは初めのうちだけで、回数を重ねるにつれ「やはり⽣で観る⽅が良いよね」という声が聞こえてきました。他と区別化するために、予算のかけ⽅や⾒せ⽅の⼯夫、どこに拘りを反映させるかなど、今までに経験してこなかった新しい知恵が必要になりました。

700 年の間、戦災、災害、政変をくぐり抜けてきた能楽は、その時代時代で能に関わる⼈たちが最良の決断をしてきたから、作品も装束もそして能楽師としての⽣き様も⾊褪せることなく残ることができました。

我々も、令和を⽣きる⽅達が何に感動し何に⼼を掴まれて幸せな気持ちになるのかをしっかりと捉えることが⼤切で、それを実現させる為の⼿段としてテクノロジーという⼼強い味⽅があることを忘れずに、未来の能楽師たちが歴史を振り返った時に、令和の能楽師たちは良い決断をしたのだと思われるような⽣き⽅をしたいです。