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だいぶ暮れも押し詰まってきました。世間はクリスマス・イヴで、街にはたくさんの人が出ていました。皆様はいかがお過ごしでしょうか。クリスマス・イヴを前夜と訳すことが多いですが、もともとこの言葉は、Eveningを略した形で使われていたようです。つまり「クリスマスの夜」という意味ですね。
Merry Christmasとは、「楽しいクリスマスを」という意味。英語では、この時期の別れ際に、Have a merry Christmas and New Year!とかHappy Christmas!と言ったりします。日本語の「よいお年を」に近いニュアンスかもしれません。
今回のコラムは、太宰府天満宮権禰宜の真木智也さんが、1月7日の鷽替え神事のことを書いてくださいました。クリスマスが終わったら、もうすぐにお正月。年迎えの準備は進んでおられるでしょうか。
これで今年の心游舎コラムの投稿は最後となります。今年も様々なイベントを企画してきましたが、たくさんの方にご参加いただき、あたたかいご感想やコメントを頂きましたのが、大変励みになりました。心游舎スタッフ一同、心より感謝申し上げます。来年は心游舎の10周年の年となります。より一層励んでいきたいと思っておりますので、今後とも変わらぬご支援を頂けましたら幸いです。どうぞ皆様に取りまして、来年がよき年となりますよう祈念しております。どうぞよいお年をお迎えくださいませ。
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太宰府天満宮 うそ替え神事
うそ替え神事は、「木ウソ」を手にした参拝者が、楼門前の広庭に忌竹を立て注連縄を張り巡らし梅紋の高張を立てた斎場の全ての明かりを消し、「替えましょう、替えましょう」と唱えてこのウソを取り替えます。一年間についた嘘、知らず知らずについた嘘もあれば、知っててついた嘘もある、どうしてもつかなきゃいけなかった嘘もあります。それら一年間の嘘を、至誠の神、正直の神と仰がれる天神さまの誠心と取り替えましょうというありがたい神事なのです。
また、その中には特別の印のあるウソがあり、その印のついたウソに当たれば、この年の最高の幸運を得るとともに、それを純金のウソとご神前で交換します。うそ(嘘)をまこと(真実・誠実)に替え、年の始めに、昨年の凶をうそ(消除) にして、今年の吉(開運)に替えるという意味になります。うそ替え神事の後に、その時手にした「木ウソ」を自宅の神棚に上げて、一年間の幸福を祈るのもこの信仰によるものです。うそ替えは、私たちが新年を迎えるにあたっての重要な神事で、より良い社会生活を送るための歳時記でもあります。
さて、それでは「ウソ」とは何でしょうか?
ウソは、アトリ科の留鳥のことでスズメよりひと回り大きい鳥です。漢字で「鶯」と書きます。學の冠の下に鳥を用い、天神さまの使い鳥といわれています。また御本殿の創建時に襲ってきた蜂を退治しこれを助けた、と伝えられていて幸運を呼ぶ鳥としてなど、太宰府では縁起のいい鳥とされています。その鳥の形を木で刻んだものを「木ウソ」といい、昔は自分でそれぞれが刻んだものです。現在では、参拝者が各自授与所で求めて神事に参加します。この時の「木ウソ」は、朴の木をノミ一本でウソが木にとまった形を彫り上げたもので、頭、目、くちばしとウソの特徴を巧みに表現したものです。この赤い胸の「照りうそ」を表現した「木ウソ」は、太宰府を象徴する” かたち” になっています。
次に、天神さまが至誠の神・正直の神 と言われましたのはどうしてでしょうか?
江戸時代の文政年間、上方( 京都・大阪) で流行した小唄に、『心づくしの神さんか、うそをまことに替えさんす、ほんにうそかへおおうれし』というのがありまして、この唄の中に、天神さまの御神徳と、民衆の天神信仰への感謝の気持ちが、十分に表現されていると思います。実在した人物が神様として信仰され、天神さまほど沢山の御神徳を持たれた神様はいらっしゃいません。それは言い換えると、人々から代々に亘り、時代の変化に合わせて崇敬されてきたということになると思います。中でも、正直の神、いわゆる至誠の神という菅公に対する信仰は、非常に早い時期に起こっています。それは、天神縁起の利生の中にすでに表われていて、願う者の心が真実であるなら天満天神とて心に念ずれば必ず守護して下さるというものです。菅公の歌の中にある『心だに誠の道にかなひなば 祈らずとても神やまもらむ』こそ、天神さまの御神徳の第一とされる所以です。
来年も皆様方にとりまして実り多き一年となりますよう、除災招福をお祈りいたします。