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秋は空を眺めていると、雲の表情がすぐに変わるので飽きませんね。
でも、秋は天候が変わりやすいことから、気持ちが変わりやすいことの例えで、「男心と秋の空」「女心と秋の空」と言ったりします。男女両方ありますが、どちらの方がなじみがあるでしょうか。

実は「男心と秋の空」の方が歴史は古く、江戸時代にできたことわざのようです。男性の女性に対する愛情が移ろいやすいという意味で使われています。
明治・大正時代になり、女性の地位が少しずつ向上してきたことから、「男心と秋の空」をもじって、「女心と秋の空」も使われるようになったようです。
「女心と秋の空」が辞書に掲載されるようになったのも、1990年代になってから。意外と新しい言葉なのですね。
ただ、こちらは女性の愛情が移ろいやすいというよりは、喜怒哀楽の感情や物事に対する感情が移ろいやすいというニュアンスのように感じられます。
男と女、一文字変わるだけで、なんだか違う印象を受けるのがおもしろいですね。皆さんはどちらのことわざにより共感されますか?

今回のコラムは、学習院大学非常勤講師の田中潤さんが先日行われた和の色をテーマにしたオンラインセッションの内容をまとめてくださいました。
秋の空襲を作るとしたら、どんな色になるでしょうか。
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「和の色とかさね」
移り行く日本の自然の美しさは、色の変化による演出なのかもしれません。春の花、夏の青空、秋の紅葉、冬の雪景色。四季折々に季節を感じる色があり、その美しい色彩には、草木や愛らしい鳥たちの名、日々の営みに関わる言葉をもとに、和の色の名が付けられてきました。

紅梅色、山吹色、木賊色、(とくさいろ)若竹色、鶸色(ひわいろ)、朱鷺色(ときいろ)、鶯色、瓶覗(かめのぞき)。
色の名なのですが、不思議とそれを目にした時の空気感まで漂ってくるようです。

また、お日様による朝焼けや、お月様にかかる暈(くま)、深まりゆく楓の紅葉など、自然はその移ろいを色変化で伝えてくれます。
色の濃淡による色彩である「におい」など、和の色を重ね合わせていくことで、季節や慶弔をも表現する技術を手にした先人達は、かさねの色目として衣食住の中に色を取り入れ、心豊かな生活を演出してきたのです。
昨年行われた今上陛下の即位の御大礼における、両陛下始め皇族方がお召しになられた色鮮やかな御装束は、まさに、日本の自然と人々の営みの中で培われてきた和の色とかさね色目の美しさを現代に伝えるものなのです。
現代の生活の中に和の色、かさね色目を通じて自然を取り入れてみるのは如何でしょうか。新しい和の色の名が生まれ出るかもしれません。