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鴨川沿いの桜や堀川通の銀杏も徐々に色づき始めました。秋はいつの間にやら歩みを進めているようです。
今日は、そんな秋にぴったりのほうじ茶のお話。執筆者は、お馴染みのお茶博士こと、徳淵卓さんです。
ほうじ茶の香りがふわりと漂ってくるような、素敵なコラムを書いてくださいました。
秋の夜長は、ほうじ茶を片手にお過ごしになってみてはいかがでしょうか。
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馥郁たる焙じ茶の香り
秋が深まり、朝夕の清風が肌寒く感じる今日この頃です。

そんな季節に合わせて、私は日頃のお茶も焙じ茶を喫する機会が増え、身体をよく温めるようにしています。なによりも焙煎した茶葉の香りがとても良く、皆様にもこの香りを味わっていただきたく存じます。

さて、焙じ茶の歴史は意外と浅く、1900年代に京都で確立されました。焙じ茶というなまえが付く以前は、古い書物などに記述が残っているのですが”焦げ湯”という表現があり、製法は定かではありませんが茶を焙じて煮出して喫する方法は大昔からあったと考えます。

一概に焙じ茶と言っても種類もたくさんありまして、ほうじ番茶、ほうじ煎茶、京番茶、加賀棒茶、雁ケ音焙じ茶、三年番茶などなど種類はたくさんあります。色々調べて選ぶのもおもしろいですね。

また類似して番茶と同じ扱いになる地方もあり、ここでは焙じ茶と番茶は全く別の定義で簡単に説明します。
焙じ茶とは一番茶や二番茶の茎や葉をたっぷり用いて焙煎され、甘い香りが特徴です。番茶は三番茶、秋冬晩茶などを用いて加工・焙煎され、独特な香ばしい香りが特徴です。
使用する茶葉や製法に違いはありますが、どちらも身体を温めてくれて、心地よい香りに癒されることは間違いありませんのでお好みの焙じ茶・番茶を探してみてください。焙じ茶はカフェインの含有量も少なく、安心して子どもからお年寄りまで幅広く楽しめる身近なお茶です。忙しい朝でもサッと手軽に熱湯で、30秒ほどで出来る簡単な抽出法なので日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。

また、ご家庭で冷蔵庫に残ったままの使いきれなかった煎茶などを、フライパンを使い、弱火で炒るのも良し。家中が瞬く間に馥郁たる香りで満たされます。秋深まるこの時期に焙じ茶や番茶をご家庭で愉しまれ、自家製焙じ茶も是非ぜひ、チャレンジしてみてください。