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厳しい暑さは続いていますが、日がだんだんと短くなり、セミの鳴き声も変わってきて、朝夕には秋の気配を少し感じられるようになってきました。うろこ雲が浮かんでいた夕暮れもあり、秋の足音は着実に近づいてきています。
今年の夏は、本格的な入道雲をあまり見なかったような気がするのですが、室内にいることが多かったからかと気づきました。入道雲は、別名太郎雲ともいうそうで、江戸の方では「坂東太郎」、京阪地域では「丹波太郎」、信州では「信濃太郎」、四国では「伊予太郎」などと呼ばれていたそうです。むくむくとふくらむ雲は強そうで、人格を持って見えるのはなんだかわかるような気がします。そんな太郎雲が見られるのもあとわずかですね。
今回のコラムは、日本画家の神戸智行さんです。塗り絵ワークショップや墨絵ワークショップの講師を務めていただいているのはもちろんのこと、心游舎の茶缶などのイラストもいつも快く描いてくださる心游舎にはなくてはならないサポーターの一人です。言葉をとても大事にしておられる神戸さん。息子さんと参加されたオンライン辞書引きワークショップのことから、その思いを語ってくださいました。
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先日、息子が辞書引きのワークショップに参加させて頂き、それから毎日辞書引きをしています。辞書引きを始めてから、親子で色々な言葉にまつわる話をするようになりました。
例えば、「明るい」は、「明るい部屋」と「明るい性格」のどちらも「明るい」だけど意味が違う事や、「げんじほたる」から連想して、歴史の話をしたりと様々な話をしています。
知っている言葉を深く掘り下げる事は、自分の中の世界がひろがっていく事だと思います。
私は作品のタイトルは、作品の一部であり、とても重要なものだと考えています。絵という言葉のない表現に言葉を付けるのは、非常に強い影響を作品に与えるからです。タイトルは作品の入口だと考え、少しでも入口にふさわしい言葉を常に探しています。
「イノチノオモサ」というタイトルの作品がありますが、河原の草の葉の上にハグロトンボやてんとう虫か停まっています。よく目を凝らすと小さな羽虫も停まっています。葉の上に停まっても、葉を揺らす事もない位の小さな羽虫のオモサと、すべての生き物の尊い生命のオモサを表現しました。
言葉を深く知るという事は、自分の表現を伝える大切な糸口になります。タイトルを決める事は、とても悩み時間のかかる事もありますが、どうやって伝えようとか、時には謎解きのようなタイトルにしてみようとか、とても楽しいひと時でもあります。