装束の中でも「十二単(じゅうにひとえ)」は多くの方が知っていると思います。昨年の「即位の礼」でも皇后陛下が十二単を御召しになられ、話題になりました。
十二単を見た人は、「綺麗!」の次の言葉には「十二枚も服を重ねて、大変そう」や「重たそう」という言葉が出ます。
しかし、決して十二枚も服を重ねているわけではありません。十二単というのは略称で、あだ名のようなものなのです。
日本語では「100%・満タン」のことを「十分」という言葉を使います。一分とは10分の1のこと。七分袖とは10分の7の短い袖のことです。つまり「十分」とは「100%・満タン」になります。
十二単の十二とは”十分”の上の”十二分”に単を重ねている。つまり、「たくさん服を着ている」という意味から「十二単」と呼ばれるようになったとも言われています。
そんな「十二単」ついて知っておいていただきたいのは、当時の女性たちは、ただ重ね着をしていたわけではなく、色を重ねてオシャレをしていたということです。
四季折々の日本。
春になれば桜が咲き、夏になると緑が茂り、秋になると紅葉し、冬には雪が光ります。
当時の女性たちはその季節に合わせて、イメージし、グラデーションのように色を重ね、季節を楽しんでいました。
そのように季節に合わせた色の重ね方、組合せを「襲色目(かさねいろめ)」といいます。平安時代の女性たちはただ服を重ねていたわけではなく、襲色目を楽しんでいたのです。
画面を見る時間が増えた現代、たまには平安時代の女性のように近くの自然から季節を感じてみてはいかがでしょうか。