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「山笑う」――山って笑うの?
国語の授業で、もう俳句(はいく)は習いましたか。「菜の花や月は東に日は西に」のように五・七・五のリズムの短い詩のことです。そのとき、俳句には「季語」というものがあるということも教わったと思います。季節を表すために、俳句によみこむことばのことです。「菜の花や月は東に日は西に」では「菜の花」が季語で、春を表しています。

この季語の中にはけっこうユニークなものがあります。春の季語では、何といっても「山笑う」がナンバーワンではないでしょうか。もちろん山がゲラゲラ、クスクス笑うわけではありません。春になり、みずみずしいわか葉や花などによって、山全体がもえるように明るくなるようすを表したことばです。

明治時代の正岡子規(まさおかしき)という人に、「故郷(ふるさと)やどちらを見ても山笑ふ(う)」という俳句があります。ふるさとの山々が春をむかえて、いっせいにわか葉が芽(め)を吹(ふ)いて、あたり一面が明るくなったようすをよんだ句です。きっと気分まで明るくなったのでしょう。

これに対して、冬になって山が静まり返ったようすを表す季語もあります。「山ねむる」というのですが、もちろん山がほんとうにねむってしまうわけではありません。でも、これもおもしろい表現ですね。