「五月」の読み方は、「ごがつ」だけではない!
1月、2月、3月・・・という1年を12に分けた月を、昔の人はそれぞれ別の名前でよんでいました。たとえば、5月は「さつき」です。ただ、現在使われている暦(こよみ)に対して、江戸時代までは「旧暦(きゅうれき)」と呼ばれる暦(こよみ)が使われていたので、だいたいひと月ほどずれています。今の6月が旧暦の5月にあたります。その旧暦の5月は「さつき」と呼ばれていました。「さつき」は、漢字では「五月」「皐月」などと書くのですが、5月のことをなぜ「さつき」というのか、実はよくわかっていません。
それに、「五月」と書いて「さつき」と読むなんて、ふつうじゃ考えられませんよね。この「五月=さつき」のように、2、3字の漢字が結びついた語を一つのまとまりと見なして読むことを、難しいことばですが「熟字訓(じゅくじくん)」といいます。「大人(おとな)」「紅葉(もみじ)」「今日(きょう)」などがそうです。どれも一つ一つの漢字は読んでいません。
でもこの熟字訓とよく似たものに、当て字と呼ばれるものがあります。「歌舞伎(かぶき)」、「囲炉裏(いろり)」「目出度(めでたく)」などのようにできるだけ漢字で書こうとしたものや、「伯林(ベルリン)」「倫敦(ロンドン)」などのような外国の地名に漢字を当てたものなどです。ただ、熟字訓と当て字の区別はけっこうむずかしいので、最近はすべて当て字ということが多くなっています。
実はこのような当て字(熟字訓)にはおもしろいものや、なんでそう読むのだろうと思うものがたくさんあります。
そこで、最後に一つ問題です。「五月」を使った「五月蠅」という当て字があります。「蠅」は虫のハエです。何と読むかわかりますか?答えは次回に。