「手をかける」大切さ
9月22日、新潟に稲刈りに行ってまいりました。前日の夜には、地元の農家の方たちからいつものような座学と懇親会。稲の刈り方、まるけ(束ね)方の指導はもちろんのこと、通常栽培と自然栽培のコストの違い、流通や利益率についてのお話もあり、ビジネスや経済の観点からも興味深いお話であったと思います。
当日は雨予報でしたが、晴れ間も見え、暑すぎず、よい稲刈り日和となりました。今年は田んぼのぬかるみもなく、刈りやすいという声がよく聞こえてきました。5束ずつをバッテンに重ね、腰につけた稲藁でまるけるのですが、何年やってもなかなかうまくいかないものです。この道60年以上の市橋さんが、稲を刈るところからまるけるまでを見せて下さったのですが、まるで魔法のようにスムーズで流れるように動かれます。うまく説明はできないけれど、長年の体にしみこんだ感覚で、自然と体が動くのだそうです。若い頃はもっと早かったと言われていましたが、今でさえ神業だと思うのに、当時はどれだけ早かったのだろうとそこかしこからため息がもれていました。
作業の後は、塩おむすびを頂きながら振り返り会。今年で最後の学生さんも、来年もある学生さんも、来年も来たいです!と言って下さっている方が多かったことに、このお米作りワークショップが、皆さんのホームとしての役割を果たし始めていることを実感し、とてもうれしく思いました。
最初の年、宮尾さんに「お米は人の足音を聞いて育つ」と教わりました。田んぼに何度も足を運んで、手をかけてあげればあげるだけ、お米はそれに応えてくれるのだ、と。今年は機械植えのところより手植えのところの方が実りが多かったという話しを聞き、まさにその通りなのだとぞくぞくっとしました。大量生産、大量消費、なるべく効率化しようという風潮の世の中ですが、「手をかける」ことの意味の大切さを今一度考えてみたいと思います。
学生さんたちを見送った後、農家の皆さんとおいしいカレーを頂きました。こうして地元の農家の方々と、実際のご苦労や喜びのお話を聞きながら、共に過ごせる時間は、我々にとってもとても貴重で有意義なものです。来年は節目の5年目を迎えます。本当にたくさんの方々のお力を頂きながら成長しているお米作りワークショップを、これからも大切に育てていきたいと思っています。今年もご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。まだ御奉納が残っておりますが、来年もまたよろしくお願いいたします。
※写真の無断転載は固くお断りいたします。