オンラインショップ

会員ページ

夏の甲子園(第104回全国高校野球選手権大会)が本日開幕し、既に熱戦が繰り広げられています。開会式も、直前で予定が変更になり、49校の選手全員ではなく、代表の主将のみの入場行進となりましたが、全校が揃って外野から行進してくる様子や、大会歌である「栄冠は君に輝く」の合唱には胸が熱くなりました。
今回のコラムは、元高校球児の心游舎理事、小山良磨さんによる、高校野球のお話です。モミゾーの地元市立船橋が甲子園出場を決め、盛り上がっていたところ、なんと初戦の対戦相手はモミゾーの第二の故郷沖縄の興南高校。さて、モミゾーはどちらを応援するのでしょうか。
_________
人生の栄冠は君に輝く
雲は湧(わ)き 光あふれて
天高く 純白の球 今日ぞ飛ぶ
若人よ いざ
まなじりは 歓呼に答え
いさぎよし 微笑(ほほえ)む希望
ああ 栄冠は 君に輝く
今となっては夏を感じさせる名曲の一つではないでしょうか。
1948年に発表された加賀大介作詞、古関裕而作曲の作品、当初は「全国高等学校野球大会の歌」として発表された「栄冠は君に輝く」です。
74年の時を経て、日本人の夏を感じさせる、野球をやっていなくても心が震える歌だと私は思っています。数年前、海外での仕事から帰国した際、空港で「日本に帰ってきた!」と食事以外のことで実感したのが高校野球だったのを覚えています。実は私小山も今を遡ること26年前の1996年まで東東京は日本大学第一高等学校硬式野球部の部員として白球を追いかけ、栄光の優勝旗を目指し、絶対に行ける!と信じて疑わない、そんな生徒の一人でした。
調べてみると高校野球の歴史はとても興味深く、始まりは大正4年、全国中等学校野球大会として場所は今の甲子園がある西宮市ではなく大阪の豊中球場で開催されました。
ちなみに第1回の優勝校は京都二中、現在の京都府立鳥羽高等学校です。
野球は間をとる競技として日本人の気質にも合っていたのか、野球人気はみるみるうちに全国に広がっていったそうです。この大正期には外国人の留学生もいたので慶應普通部には初の外国人選手もいたそうです。
その後1942年に甲子園球場が完成すると第10回大会から甲子園球場で大会が行われるようになり全国の球児から「甲子園出場!」という大きな目標になったのです。今では日本国内だけではなく海外からも注目されている高校野球。ここから、日本のプロ野球はもちろん、メジャーリーグでも活躍選手がたくさん輩出されています。今では甲子園だけでなく地方大会にもメジャーのスカウトが見に行くことも珍しくはなくなりました。
そして、高校野球の特徴はプレーをする球児やチームだけではなく、学校全体での応援、あるいは地域、県全体を上げての取り組みがされているところです。球児個人や学校だけでなく地域同士の熱線と言っても過言ではないところがあります。
高校野球中継を見ると何県の高校、この選手は何市の出身などと聞くと親近感を覚えたり、応援したくなったり、あるいは今度行ってみようかなどと思うことがあります。一番身近な地域再興、活性化の取り組みではないかと個人的には思っています。
そんな高校野球にも過去には悲しい事件の中で中止になった歴史もあります。
古くは1918年、米相場の急騰による今ゆる米騒動により中止、1941年には日中戦争の影響により、1942年以降5年間は大東亜戦争の影響により中止、そして近年では2020年、新型コロナウイルスの感染拡大のために中止という歴史があります。
高校生活3年間、青春の全てを甲子園出場にかけてきた中、出場できなかった悔しさや悲しみはいかばかりかと思います。甲子園が全てではないということも言われますが、そこはやはり高校野球をやってきた者にしか分からない感情があります。確かに人生の全てではありませんが、それだけ甲子園というのは高校球児にとって特別なものであると改めて感じます。これから先、球児たちの夢、地域の夢が様々なことで中止となることがないよう願うばかりです。
日本の特別な夏、高校野球、甲子園の大会は高校生だけでなく様々な人に感動や共感、勇気や希望をもたらしてくれる素晴らしいものです。そこに至るまでは血の滲むなどという言葉では言い表せないほどの努力、また球児だけでなくスタンドで必死に声援を送るブラスバンドや応援団、一体感・運命共同体として観戦できる、それが日本の高校野球の素晴らしさだと思います。
今年もすでに様々なドラマが生まれていますが、今年も甲子園に白球を打ち返す音と球場を震わす応援が響き渡る暑い、熱い8月がやってきます。
彬子女王殿下も毎年手に汗を握られ、一つ一つのプレーに感動されています。今年も野球談義ができるのが楽しみです。
そして最後に。甲子園を目指した先輩の端くれとして。球児の皆さんのやってきたことは必ずこれからの人生の栄養になります。だからどんな結果であっても胸を張って、笑って歩き続けてください。
※写真は1996年の神宮球場前の小山良磨18歳です。見つけられた方は今年の後半良いことがあるとか、無いとか。