【日本文化の入り口マガジン 和樂web】にて連載中の「彬子女王殿下と知る日本文化入門」の最新号が掲載されました。
今から10年以上も前のこと。仕事の打ち合わせで、京都市伏見区にある植物染の工房、染司よしおかを訪ねた。今は亡き先代の吉岡幸雄先生に連れられて染め場に向かうと、紫と白の縞に染め分けられた不思議な和紙が干してあった。「これは何ですか?」と伺うと、「あぁ、これ石清水八幡宮のオハナシンセンやねん」と先生。オハナシンセンが脳内で漢字変換できず、完全に固まる私。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥。「オハナシンセンって何ですか?」と伺うと、9月15日に石清水八幡宮で行われる勅祭石清水祭でご神前にお供えされる12台の四季を表す造花を「御花神饌」と言うことを教えてくださった。
紫と白の和紙は杜若(かきつばた)の花になるという。御花神饌は供花神饌とも言い、石清水八幡宮にお祀りされている三柱の御祭神御一方ずつに、春夏秋冬1台ずつのお花をお供えするのだと教えてくださった。竹、梅、桜、紅葉、菊など、色とりどりの美しい植物、そしてそれぞれに鳳凰、鶯、蝶、鹿、鶴などの動物を合わせて配する。これは石清水祭が、旧暦8月15日、御祭神である八幡大神(はちまんおおかみ)が男山の裾を流れる放生川に魚鳥を放ち、生きとし生けるものの平安と幸福を願う祭儀として始められた放生会(ほうじょうえ)に由来するからなのだそうだ。
■心を込めて作る紙のお花。石清水八幡宮の「御花神饌」
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